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実は怖い申告書の記載もれ

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若いころ先輩から確定申告時期によく言われたのが、申告書の細かい部分もしっかり確認しろというものです。

 

確定申告書の特例適用条文の欄に、条文番号を書き忘れると適用が受けられないというような話をよくされました。

 

確かにそういった裁判例とかがあったおかいう噂も聞いたことがあります。

 

同じような話で、相続税では小規模宅地等の減額の適用要件に、同意書の提出というのがあります。

 

小規模宅地の特例は特例対象地が複数ある場合には、適用可能な相続人全員の同意書の提出が必要となっています。

 

これは同意書という形の書類の提出が求められているわけではなく、申告書にそういった記載欄があります。

 

 

この同意書がないと特例を受けることができないわけです。

 

特例対象地が一つであれば、その土地を相続する人のみの記載でいいと思います。

 

共有であれば共有者全員、複数の土地があればそれら全員の同意が必要となります。

 

なぜこのような同意が必要かというと、どの土地で特例を受けるかによって税額が変わってくるからです。

 

A土地と、B土地どちらで取得するかで全員の税金が変わってきます。

それは相続税が法定相続分課税方式を採用しているため、A土地とB土地で評価減の金額が異なると全員の税金計算に影響します。

 

また、A土地とB土地でどちらが取得するかで、それぞれを相続する相続人の税金に大きく影響がでます。

 

それは法定相続分で全体計算をした後で、実際の相続分で按分するという独特の計算方式をとるためです。この実際の相続分が特例適用後の評価額で集計されるのです。

 

したがって、どちらで選択するかによって有利不利がでて、得する人と損する人がでてくるということになります。

 

通常は全体の税金が下がれば全員それなりに恩恵を受けることになるので問題はあまりないのですが、2つ以上から選択する場合には同意がないまま申告することはトラブルのもとにもつながってきます。

 

相続税の申告書は連名で提出するわけですから通常は全員で1表に押印した段階で同意はしているものだとも思えます。しかし、原則は相続人が別々に申告書を提出してもいいわけであり、この11表の不表のような形で同意書を添付しないと認められないということになると思います。

 

平成26年8月8日に国税不服審判所の裁決例がありました。

 

開業医である相続人がその診療所の土地で特例の適用を受けたが、実は亡くなった父親には別に小規模宅地の特例の対象となる賃貸用の未分割の不動産があり、未分割である以上は他の相続人との共有であるから、同意書がないと適用を受けさせないというような内容でした。

 

http://www.kfs.go.jp/service/JP/96/08/index.html

 

本件のように分割された特例対象宅地等のほかに未分割である特例対象宅地等があった場合において、本件相続税の申告段階で特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の提出がないにもかかわらず、分割された特例対象宅地等に本件特例の適用を認めることは、未分割であった特例対象宅地等が後に分割され、他の特例対象宅地等を選択する相続人がいた場合には、結果として、相続人ごとに課税価格が異なってしまい、当該課税価格を確定できない結果の生じる可能性を認めることにほかならないのであるから、特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の添付が求められている趣旨に反することになる。

したがって、請求人の主張は採用できない。

ロ さらに、請求人は、本件特例は、例外的減税措置とは言い難く、あまねく普及した措置であるから、相続税の申告書に選択特例対象宅地等についての同意を証する書類の添付を要するという手続的要件を厳格に解することは、かえって租税負担の公平性を害することになるほか、事業承継の円滑化等のために規定された本件特例の立法趣旨がいかされないことになる旨主張する(上記3の「請求人」欄の(2))。

確かに本件特例の趣旨は、上記(1)のイのとおり、被相続人から相続又は遺贈により取得した宅地等で被相続人等の事業の用に供されていた宅地等は、一般に、それが相続人等の生活基盤の維持のために欠くことができないものであり、当該宅地等の処分に対する制約及び相続人等の事業継続への配慮という政策的な観点から、当該宅地等の課税価格に算入すべき価額を減額し、相続人等の租税負担を軽減することにある。しかしながら、本件特例は、他の財産の課税価格に算入すべき価額の計算と比べて特則あるいは例外規定であるから、このような措置法の規定については、上記(1)のニのとおり、その解釈は厳格にされるべきものであり、法令に規定する文言を離れてみだりに拡張解釈ないし類推解釈をすることは許されない。

したがって、本件特例の趣旨等から、特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の添付がなくとも本件特例の適用が認められるべきであるとする請求人の主張は採用できない。

同意があったことは、なんとなくわかっていたし、その土地を選択することが最も有利で経済的道理性があったとしても条文の文言どおりに、同意書が提出されていないと適用はさせませんという話です。

 

結構厳しい判断ですね。

 

実は税務の書類には普段あまり意識していない欄というのも存在します。

確定申告の適用条文しかり、ですよね。

細かいところもこだわって書類の作成をしていかないと足元をすくわれると、何年経験したとしても肝に銘じておかないといけませんね。

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