相続で借金が大きいときなど、相続放棄という選択肢があります。
相続放棄は限定承認と異なり、各相続人が単独で行うことができます。
家庭裁判所のホームページから書式をダウンロードし、必要な書類を添付して提出するだけです。
そんなに難しい手続きではありません。
ただ注意が必要なのは自分の相続分が他の人に移るということです。
妻と子供が皆で相続放棄をすると、兄弟に相続人がうつります。
そうなると今度は、兄弟が相続放棄をしなければいけません。
相続放棄は亡くなってから3ヵ月ではなく、自分が相続人であることを知ってから3ヵ月です。
こういうことがありました。
友人のお父さんが亡くなって会社の借金が残りました。
連帯保証人になっているため家族が借金を引き継ぎます。
弁護士さんに相談したところ相続放棄を勧められ、手続きを依頼することになってそうです。
妻と娘が相続放棄します。
僕も話を聞いて借金の内容や事業の方向性から相続放棄をするしかないと思いましたが、さらに兄弟の分の放棄も考えないといけないと伝えました。
その場合、放棄の手続きの費用をこちらでもたないと親戚との仲がこじれますよ…という助言も加えました。
しばらくしてそんなことも忘れかけたころ連絡がありました。
叔父さん、叔母さんも放棄をしないとわかったらしく、母娘は親戚から責められて弁護士費用をこちらでだすことになったそうです。
僕と話をした時も多少のお酒も入っていたし、自分たちの手続きが済んでほっとしていたのでしょう…そのままにしてしまったようです。
「こないだ僕が言った通りになったでしょ…」
と言いたかったところです。
でも弁護士さんも最初からそうなることはわかっているでしょうから、全体の費用の提示なりアドバイスをしてくれれば親族間でトラブルになることもなかったと思います。
相続放棄するならその先の手続きも考えて、親戚とトラブルにならないように対応しましょう…という教訓ですね。