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老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例

相続によって取得した資産のうちに被相続人(亡くなった方)が居住していた宅地等が含まれている場合には、その相続人等が取得したこれらの宅地等のうち限度面積までの部分(小規模宅地等)について相続税の課税価格に算入すべき金額は特定居住用宅地に該当する場合には20%、その他の宅地等については50%を乗じた金額となります。

つまり、被相続人の居住用の財産については通常は50%減額、配偶者が相続する場合など一定の条件に該当する場合には80%を減額した額となります。

さて、今回のケースです。

一人ぐらしのお年寄りがお身体が不自由になると、入院したり介護施設に入居されると思います。

ご自分では自宅で介護を受けたいと望んでいたとしてもなかなか状況がゆるしてくれないケースもあると思います。

こういうケースでも、一定の条件に該当するような場合には、相続直前においても被相続人の居住の用に供していたものとして処理をしてもさしつかえないとされています。

 

≪参考:国税庁 質疑応答事例より≫

  

【照会要旨】

被相続人は、居住していた建物を離れて老人ホームに入所しましたが、一度も退所することなく亡くなりました。

この場合、被相続人が入所前まで居住していた建物は、相続開始直前まで空家となっていましたが、その建物の敷地は、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当しますか。

 

【回答要旨】

被相続人が居住していた建物を離れて老人ホームに入所したような場合には、一般的には、それに伴い被相続人の生活の拠点も移転したものと考えられます。

しかし、個々の事例のなかには、その者の身体上又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、居住していた建物を離れて、老人ホームに入所しているものの、その被相続人は自宅での生活を望んでいるため、いつでも居住できるような自宅の維持管理がなされているケースがあり、このようなケースについては、諸事情を総合勘案すれば、病気治療のため病院に入院した場合と同様な状況にあるものと考えられる場合もありますから、一律に生活の拠点を移転したものとみるのは実情にそぐわない面があります。

そこで、被相続人が、老人ホームに入所したため、相続開始の直前においても、それまで居住していた建物を離れていた場合において、次に掲げる状況が客観的に認められるときには、被相続人が居住していた建物の敷地は、相続開始の直前においてもなお被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するものとして差し支えないものと考えられます。

  

(1)被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。

(2)被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。

(3)入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。

(4)その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

 

 

(注)

1 上記(1)について、特別養護老人ホームの入所者については、その施設の性格を踏まえれば、介護を受ける必要がある者に当たるものとして差し支えないものと考えられます。

 なお、その他の老人ホームの入所者については、入所時の状況に基づき判断します。

2 上記(2)の「被相続人がいつでも生活できるよう建物の維持管理が行われている」とは、その建物に被相続人の起居に通常必要な動産等が保管されるとともに、その建物及び敷地が起居可能なように維持管理されていることをいいます。

 

 

【関係法令通達】

 租税特別措置法第69条の4第1項

 

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