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不動産管理法人設立の留意点

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不動産管理法人のデメリット

資産家の不動産を管理する同族法人の設立のデメリットとしては次のものがあります。

  • 会社設立がかかる。
  • 資産家本人のほか、管理法人、親族と所得を区分して計算する必要があるため煩雑となる。
  • 赤字でも地方税均等割がかかるほか、税務や社会保険などの手続きの費用がかかる。
  • 税制改正や通達などの影響で節税メリットが縮小される可能性がある。

 

上記のような設立や運営にあたってコストがかかるため、保有不動産の規模によっては節税メリットのっ享受ができないまま煩雑さのみが残る可能性があります。

不動産管理法人の設立にあたっては、節税のメリットなどを十分にシミュレーションして意思決定することが必要でしょう。

 

管理方式別留意点

1.管理委託方式

最大のポイントは管理料の金額が適正かどうかになります。

管理業務の内容に照らして不相当に高額な管理料を支払っている場合には、その高額な部分については否認されるケースがあります。

この場合、税務当局は「同族会社の行為計算の否認」の規定を適用して同族会社であるがための不合理な節税行為として判断して対処します。

適正管理料については外部の不動産会社に依頼した場合が判断材料となりますが、判例においては4~6%という判断が多いようです。

 

2.転貸方式(サブリース方式)

この場合も最大のポイントは実質管理料にあたる家賃の収支額が適正かどうかになります。

適正管理料については外部の不動産会社に依頼した場合が判断材料となりますが、判例においては5~12%という判断が多いようです。

したがって、満室時に入居者から受け取る家賃の85%~90%を資産家オーナーに支払う形の契約を結ぶことになります。

 

3.不動産所有方式

不動産を個人オーナーから管理法人に移転させる場合(節税効果から建物を優先的に移転させる)には、その不動産をいくらで移転させるのかという問題が生じます。

この場合の取引金額は時価で行わなければなりません。

時価とは、売り急ぎなどがない通常の第三者間の取引で成立せる価格のことをいい、不動産鑑定士の鑑定評価をとるなど時価の算定根拠を明らかにしておく必要があるでしょう。

また、土地が個人で建物が法人の場合には借地権や適正地代の問題も生じてきます。

4.共通する留意点

役員報酬や退職給与などの役員への給料関係の支払いに関する点があげられます。

金額が適正であること、議事録などの資料が整っていることなどが必要となります。

居住用以外の物件(駐車場や商業テナントなど)の賃貸料や管理委託方式における管理料は消費税の課税取引となります。

年間の課税売上が1000万円を超える場合には課税事業者となります。簡易課税と本則課税の有利、不利の判定などに留意する必要があります。

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